声明・談話など

2016年12月14日 (水)

★参考資料更新★【談話】東電賠償・廃炉費用、老朽炉廃炉費用の託送料金上乗せについて

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(談話発表記者会見、12月7日、衆議院第1議員会館内)

記者会見映像


東電賠償・廃炉費用、老朽炉廃炉費用の託送料金上乗せについて(談話)【PDF】

2016年12月7日
原発ゼロの会役員

 東京電力福島第一原発(1F)事故の賠償・廃炉費用や老朽化で廃止をする原発の廃炉関係費用を託送料金に上乗せして回収するなど、電力会社の負担を軽減し国民負担を増大させる議論が経済産業省の「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」(貫徹小委)と「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)で進んでいる。前者は今年9月27日、後者は10月5日にスタートし、いずれも年内に一定のとりまとめをするという。
 国民的議論はもちろん国会の関与も一切ないままに原則を歪めた国民負担増大案がまとめられるのであれば言語道断である。これまでに提案されている託送料金上乗せ案(参考資料)には根拠がないか飛躍した論理が用いられており、そもそも議論の前提となる数字等も十分に公開されていない。
 原発ゼロの会は各種費用の託送料金上乗せに反対するとともに、「原発の後始末費用」については原則に立ち返るべきであると強く主張する。

■ポイント
【総論】
1.既に東電賠償・廃炉費用は国民負担に転嫁されはじめている
2.東電債務超過回避のために費用見積りを隠すべきではない
3.老朽炉の廃炉関係費用の見積りを明らかにすべき

【東電賠償・廃炉費用について】
4.原賠機構一般負担金「過去分」はあり得ない
5.「使用済燃料再処理等既発電費」の前例を悪用すべきではない
6.1F廃炉費用の託送料金上乗せの根拠がない
7.1Fへの廃炉会計制度(廃止措置資産)適用には歯止めがない
8.東電破綻処理、株主・貸し手責任の完遂が前提

【老朽炉の廃炉費用について】
9.「安全神話」の反省がない
10.ベースロード電源市場とのバーターにすべきではない
11.廃炉促進の特別法で分割償却を担保すべき
12.託送料金上乗せは電力会社に不当な損益改善効果
13.会計制度を歪めるべきではない
14.「原発は安い」というコスト計算に意味はない

【参考資料(12月7日版)】
【参考資料(12月14日更新版)】
 ※「参考③」の金額単位に誤記載があり修正しました(正「億円」、誤「百万円」)。

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原発ゼロの会役員
共同代表:河野太郎(自民党)、近藤昭一(民進党)
世話人:阿部知子(民進党)、逢坂誠二(民進党)、初鹿明博(民進党)、真山勇一(民進党)、笠井 亮(日本共産党)、河野正美(日本維新の会)、玉城デニー(自由党)、照屋寛徳(社民党)
顧問:加藤修一(公明党)、山内康一(民進党)、鈴木 望(日本維新の会)
事務局長:阿部知子(民進党)
* 原発ゼロの会には、8党・会派及び無所属の衆参国会議員78名が参加しています。
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【総論】
1.既に東電賠償・廃炉費用は国民負担に転嫁されはじめている

 福島第一原発事故費用については、既に多額の国民負担が生じている。
 1Fの廃炉・汚染水対策費用のうち、「安定化維持費用」(毎年経常的に発生する修繕費、委託費、消耗品費等。2015年度は836億円)と「廃止措置資産償却費」(廃炉のために新たに取得した設備等や5・6号機の廃止措置中も役割を果たす設備等の減価償却費。金額不明)の一部は、既に東電の電気料金原価に算入され消費者に転嫁されている。凍土壁の費用などには、廃炉に係る研究開発として国費が支出されている。通常の廃炉を想定して2011年度までに東電の電気料金から積み立てられた原子力発電施設解体引当金(1,856億円)も廃炉費用に充てられる。コールセンターなど東電の賠償対応費用も料金原価に算入されている(2012~2014年度の平均は259億円/年)。
 一方、原発事故の損害賠償に備えるために2011年9月に原子力損害賠償・廃炉等支援機構(原賠機構)が設立された。これは原子力事業者による支え合いの仕組みであり、損害賠償費用に充てるために原子力事業者は毎年一般負担金を原賠機構に納付している(2015年度は1630億円)。この一般負担金も各電力会社の料金原価に算入されている。一般負担金は「将来の事故」に備えるという建前であるが実際は東電の賠償を支えるものである。
 また、1Fサイト外の除染に要する費用も賠償に含まれるものであるが、除染費用は国が立替えており、東電に求償すべき費用は原賠機構が保有する東電株の売却益で賄う予定となっている。しかし、除染費用は既に国の予算ベースでも既に3.8兆円(2017年度概算要求までの累計)と、2.5兆円という見積りを超過している上に、東電株売却益も想定に届かないとされており、潜在的な国民負担である。
 また、除染により取り除いた土壌や廃棄物を保管する中間貯蔵施設の費用には電源開発促進税が充てられ電気利用者に負担が転嫁されている。
 このように電気料金や税という形で既に多額の国民負担が発生している。我々が把握できた範囲で参考資料にまとめたが、公開情報の制約から十分に明らかにできたとは言えない。政府は議論の前提として賠償・廃炉費用の全体像と金額及び負担関係を明瞭に示すべきである。

2.東電債務超過回避のために費用見積りを隠すべきではない
 政府は東電が債務超過になる恐れがあるとして、東電委員会で東電改革案がまとまる年末まで1F事故賠償・廃炉費用の最新見積りを公表しない方針のようだ。一方で電気事業連合会が8.1兆円の資金が不足するという試算を政府に示し、国費負担を要請したとか、経産省が賠償・廃炉費用の総額は20兆円を超えると推計したといったことが報じられている。政府は過去に例がないため費用見積りが難しいと言うが、合理的に見積れる範囲であっても東電が実質的に債務超過になる可能性がある。賠償・廃炉費用の規模感が具体的に示されないままに、費用負担の仕組みや統合・再編を含む東電改革の論議が先行するのは本末転倒である。

3.老朽炉の廃炉関係費用の見積りを明らかにすべき
 2012年の原子炉等規制法の改正で原発の運転期間が40年に制限され、審査を通った場合に限り20年の延長が認められることになった。既に関西電力美浜1、2号機、中国電力島根1号機、四国電力伊方1号機、九州電力玄海1号機、日本原電敦賀1号機の6基が運転期間延長申請をせず廃炉とすることが決定した。
 原発の廃炉費用は多額に上るため運転期間中から原子力発電施設解体引当金を積み立てることとされており、その引当費用は電気料金原価に算入されている。ところが、2013年に制度が改正される以前は、発電量に比例して引き当てる生産高比例法が採用されていたこと等により、引当金の残高が本来積み立てるべき総額に不足するという事態が生じている(引当計算の前提だった稼働率76%に達しなかった等による)。この引当不足額は通常の会計処理であれば特別損失として一括計上されるべきものである。
 また、廃炉決定時点における固定資産(原子力発電設備、核燃料)の残存簿価については固定資産除却損が計上され(改修等があるため老朽炉でも設備の残存簿価がある)、さらに、上記解体引当金の対象となっていない核燃料解体費用等も発生するが、これらも特別損失として計上されるべきものである。
 しかし、多額に及ぶこれらの費用を廃炉決定時点で一括認識し特損計上することは電力会社の財務に悪影響を及ぼすため、廃炉の決定を躊躇うことが懸念された。そのため2013年と2015年の2回にわたり「廃炉会計制度」が整備され、廃炉関係費用の分割償却と電気料金原価算入を可能にすることによって廃炉を促進することとされた(その他、解体引当金の引当てを生産高比例法から毎年定額引当に変更し不足が生じないようにされた)。
 上記6基に廃炉会計制度が適用され、その対象費用については参考資料の通りに明らかにされている(2016年3月末の残高は6基合計で約1,800億円である)。しかしながら、今後も運転期間延長を申請せず廃炉となる老朽炉が出ることが想定されるが、その場合にどの程度の費用が発生し得るかを試算するための基礎データが十分に公開されていない。原子炉毎の解体引当金総額の見積額及び未引当額等は公表されているが、廃炉会計制度の対象となる固定資産の残存簿価及び減価償却費の年額(これにより将来の廃炉決定時の残存簿価が推計できる)及び核燃料解体費用等の見積額も原子炉毎に明らかにすべきである。こうした費用の国民負担への転嫁が検討されているのであれば、公開が優先されるべきである。

【東電賠償・廃炉費用について】
4.原賠機構一般負担金「過去分」はあり得ない

 資源エネルギー庁は原賠機構の一般負担金について「本来、これらの費用は福島第一原発事故以前から確保されておくべきであったが、制度上こうした費用を確保する措置は講じられておらず、当然ながら料金原価に算入することもできなかった」と主張する。そして、過去に「安価な電気を利用した需要家」に遡及して負担を求めるべきだが現実的ではないとして、全需要家が遍く負担する送配電網の利用料である託送料金に上乗せして回収することを検討している。すなわちこれは、原発を持つ電力会社だけでなく、新電力の利用者も賠償費用を負担することになる。
 原賠機構の一般負担金は、東電以外の電力会社にも電気料金原価への算入を認め、また株主からの責任追及を回避するために、将来の事故に備える支え合いの仕組みであるとの建前をとるが、実質的には東電支援に充てられてきた。
 にもかかわらず、この期に及んでこうした「過去分」なる理屈が持ち出されたことには大いに違和感がある。販売時に原価に含めていなかった分を遡及して取り立てるなどということは通常の商取引ではありえない。販売側が自己責任で処理すべきものである。
 そもそも、事故リスクを過小評価し、事故費用の備えを怠ったどころか、リスクに備えると原発が危険だと思われる恐れがあり、また投資に金が嵩むことから、賠償費用の備えをせず安全投資も抑えた国及び電力会社の甘い判断の問題である。「安全神話」を流布させてきた責任を棚に上げ、賠償の原資不足を電気利用者全員で負担しろと言うような、事故検証と断絶した費用負担論は認められない。

5.「使用済燃料再処理等既発電費」の前例を悪用すべきではない

 「過去分負担」問題は、使用済み核燃料の再処理費用を発電時に積み立てる使用済燃料再処理引当金の創設時(2005年)にも起きている。制度開始以前に発生した使用済み燃料の再処理費用、いわゆる既発電分について、原発を持つ電力会社の電気料金ではなく託送料金で回収する案が示され、PPS(現・新電力)が反発し、「(過去分をPPSの顧客に負担させるのは)今回の小委員会で最後」にするとして、議論が終了し、2005年度から15年度間にわたり「使用済燃料再処理等既発電費」を電力会社が費用計上することとなり、その相当額が託送料金に含まれている。資源エネルギー庁は、逆に、この議論を託送料金で回収することの前例として示しており悪質極まりない。

6.1F廃炉費用の託送料金上乗せの根拠がない
 1Fの廃炉費用は東電の合理化努力により捻出するというのが現下の検討の基本とされている。電気料金に1F廃炉費用を含めることは経営判断であり、消費者にもその価格を受入れるか、他社に移るかの選択肢がある。
 しかし、送配電事業の合理化による原価低減分の扱いは別である。合理化分を東電の送配電部門(東京電力パワーグリッド)の託送料金(自由化後も引き続き規制料金)に反映させず廃炉費用に充てるならば、新電力を含む東電管内の全利用者が廃炉費用を負担することになる。それが認められる根拠も示されないままに、送配電事業の合理化分を廃炉費用に充てるために「制度的手当」をどうするかという議論に飛躍している。
 廃炉・汚染水対策のうち安定化維持費用については既述の通り小売料金(小売自由化後も2020年までの経過措置として規制料金)原価に算入されているが、そもそも発電をしておらず売上を生まないにも関わらず、経常費用として原価算入を認めた判断は問題であり、送配電網の利用料である託送料金の原価たり得ないことはなおさら明白である。

7.1Fへの廃炉会計制度(廃止措置資産)適用には歯止めがない
 1F廃炉費用のうち固定費については、廃止措置資産(廃炉・汚染水対策のために新たに取得する設備等)への廃炉会計制度の適用を継続し、その減価償却費を託送料金に上乗せすることも検討されている。元々、廃炉措置資産という区分は通常炉の廃炉を促進するために2013年の廃炉会計制度導入の際に設けられたものであり、事故を起こした1Fに適用するためには通常炉とは別途の根拠を必要とする。しかし、その根拠が示されないままに、資金確保のための「政策対応」に議論が飛んでいる。
 そもそも通常炉に関しても、「発電と廃炉は一体の事業」という理屈で、廃止措置中も引き続き役割を果たす設備(原子炉格納容器など)について固定資産除却損(特別損失)の一括計上ではなく減価償却の継続と電気料金原価算入を認めた2013年廃炉会計WGの論理には問題がある。同WGは事故炉にも留保なく適用することを認めたが、これを維持するのであれば、廃炉・汚染水対策のための新規取得資産が際限なく廃止措置資産として計上されることになる。その矛盾を放置した上に、特例を設けることは現に慎むべきである。

8.東電破綻処理、株主・貸し手責任の完遂が前提
 負担の前提となる責任の所在の議論があいまいなまま、1Fの事故費用負担の現状や廃炉や賠償にかかる費用の具体的な見積りも示されていない中で、このまま費用負担の論議や統合・再編を含む東電改革論議が先行するのは本末転倒である。原則に戻って、費用認識をし、経営責任の明確化と株主・貸し手責任の徹底を前提として、廃炉と賠償の完遂という特殊事情を踏まえつつ東電の今後を議論すべきである。

【老朽炉の廃炉費用について】
9.「安全神話」の反省がない

 3.11の反省を踏まえて原子力規制委員会が創設され、原子炉等規制法も改正されて40年運転制限やバックフィットが導入され、新規制基準も策定された。
 にもかかわらず、安全神話の下での60年運転計画を前提に、老朽炉の40年廃炉は原発の40年運転制限の導入や新規制基準の策定という政策変更を理由とした「計画外廃炉」に当たる、あるいは新たな基準を既存炉に適用するバックフィットを理由とする廃炉も計画外廃炉となるなどとして、国民負担に転嫁するのは福島第一原発事故の検証を無視した議論であり認められない。

10.ベースロード電源市場とのバーターにすべきではない
 当初資源エネルギー庁は、電力小売自由化後も大半の新電力は大手電力会社の電源から常時バックアップを受けて供給力を補っており、大手電力会社の原発を含む電源から受益をしているというアクロバティックな「現在受益論」を唱えたが、さすがにこれは評判が悪く取り下げた。しかし、託送料金上乗せを認める見返りとして、大手電力会社のベースロード電源に対する新電力のアクセスを確保することなど、原発をいわば「公益電源」化する議論は維持されている。ベースロード電源の開放は大手電力会社と新電力の競争条件を対等にして競争を促進する必要条件であるが、託送料金上乗せの交換条件にするものではない。また、「公益電源」などという言葉で惑わせ、託送料金を通じた消費者負担で原発を優遇することを正当化すべきではない。
 電気そのものの価値から二酸化炭素を排出しないという「非化石価値」を分離して取引できるようにする「非化石価値取引市場」創設も検討されている。その主要な目的は、再生可能エネルギーの推進とFIT(固定価格買取制度)賦課金の国民負担軽減である。しかし、原発を非化石電源として再エネと同列で扱うことは問題であり、原発の環境汚染リスクという負の価値を減殺させる不当な優遇措置となるため認められない。

11.廃炉促進の特別法で分割償却を担保すべき
 通常炉の廃炉費用に関する今般の検討の「目的」としては「原発依存度低減、廃炉の円滑化」が掲げられており、資源エネルギー庁の資料は廃炉促進を前面に出した上で会計上の制約を訴える構造となっている。資源エネルギー庁は、計画外廃炉については一括費用認識が問題であって、「電力会社が廃炉に関係する費用負担を回避したい訳ではない」とする。直接的なキャッシュフローではなくバランスシートへの影響(債務超過あるいは財務指標悪化による資金調達リスク)のみが問題であるのならば、特別損失一括計上ではなく費用として分割計上できるよう会計上の特則を担保できればよいはずである。その場合であっても、電気事業会計規則など経済産業省令レベルで処理するのであれば国民、国会の監視・関与が効かない。あくまで会計原則の例外であることを明確にしつつ、廃炉促進を目的とする特別法を制定して分割償却を担保すれば透明性も確保でき、望ましい。

12.託送料金上乗せは電力会社に不当な損益改善効果

 廃炉費用を利益(=電気料金-本来の原価)から捻出する場合は分割償却と特損一括計上との間で電力会社の通算損益は変わらない。しかし、廃炉費用を託送料金に上乗せすることは、廃棄する資産の対価を消費者から別途徴収することと同じであるので、電力会社の損益にとってプラスの効果が生じる。また、発送電分離後の廃炉費用は原子炉を所有する発電会社に帰属するのに対し、託送料金収入とこれに対応する費用(託送料金原価)は送配電設備を所有する送配電会社に帰属するため、会計上の矛盾が生じる(廃炉費用を賦課金の形で徴収する場合でも事実上、価値のない資産の対価として消費者に追加負担が生じることには変わりがない)。加えて、廃炉費用(原子力発電施設解体引当金)の見積りが上振れして膨らんだ分も託送料金に上乗せされる可能性が示唆されている。資源エネルギー庁は「見積り総額を経産大臣が承認する」ことで妥当性を確保する現行の仕組みを継続するとするが、廃炉費用が際限なく託送料金に転嫁される抜け道を作ってはならない。

13.会計制度を歪めるべきではない
 廃炉が決まった原発は、もはや発電をせず、売上を生まないのであるから廃炉費用には原価性がなく特別損失として計上されるべきものである。しかしながら、廃炉会計制度では、電気料金の総括原価方式の原価として算入することによって廃炉費用に原価性を付与して一括費用認識(特損計上)を回避している。
 2020年の規制料金撤廃以降は、この原価性を維持できないことから、残る規制料金である託送料金の原価として一括費用認識を回避することが目論まれているが、託送料金制度を利用しても原価性のないものに虚構の原価性を付与することには変わりがない。本来、電気事業会計制度と電気料金制度との間には「会計制度を基礎にした電気料金」という関係があるはずである。つまり、電気事業会計の社会性を担保するために企業会計の原則に従うことが当然に求められ、その会計を基礎として電気料金が算定される。しかし、廃炉会計制度では電気料金原価に算入するという結論に会計制度の方を合わせる「電気料金を前提とした会計制度」という逆転が起こり、会計制度が歪められている。これ以上、原子力発電に関する会計制度を歪めるべきではない(金森絵里氏『原子力発電と会計制度』参照)。

14.「原発は安い」というコスト計算に意味はない
 福島第一原発事故により多額の賠償・廃炉費用が発生するという経験をした後でも「原発は安い」と主張されている。「原発は安い」と言うのであれば、通常炉・事故炉を問わず賠償・廃炉費用は利益(過去利益を含む)から捻出すべきである。託送料金上乗せを求めるならば、「原発は安くなく、電力会社が負担に耐えられない」ことを認めなければ筋が通らない
 まずは1F賠償・廃炉費用及び通常炉の廃炉関係費用の見積りを明らかにすべきである。また、計画外廃炉の場合、電力会社は稼働継続と廃炉との間で損益を比較して合理的に判断しているはずである。本来電力会社が捻出すべき費用が安易に消費者につけ回されてはならず、原発によってどれだけの利益が蓄積されているのかをはじめ原発に係る通算損益の計算、電力会社の負担能力に係るデータも明らかにすべきである。

以上

【本文PDF】
【参考資料(12月7日版)】
【参考資料(12月14日更新版)】
 ※「参考③」の金額単位に誤記載があり修正しました(正「億円」、誤「百万円」)。

2016年11月24日 (木)

【談話】日印原子力協定について(2016/11/24)

日印原子力協定について(談話)【PDF】

2016年11月24日
原発ゼロの会役員

 11月11日、安倍総理大臣はインド・モディ首相と日印原子力協定について最終合意し署名式に立ち会った。福島第一原発事故はいまだ収束せず、多くの人々が避難を余儀なくされ、廃炉のメドさえ立たない中、原発輸出を推進することは理解し難い。原発ゼロの会が役員談話「日印原子力協定『原則合意』の再考を」(2016年2月4日)で示した懸念も解消されていない。

曖昧な「協力停止措置」
1.日本が従来締結した原子力協定では核実験実施時の協力停止を本文に明記していたが、その担保が特に求められる本協定では本文に当該条項は盛り込まれず、「見解及び了解に関する公文」と称する別文書にとどまった。そこですら核実験を明示せず、2008年9月5日のインド・ムカジー外相声明が「協力の不可欠の基礎」であり、その「基礎に何らかの変更がある場合には」日本が協定の終了につき書面による通告を行うとした。同声明はインド政府が核実験モラトリアムを発表したものであるが、その内容の引用又は要約はなく、ただ「9月5日の声明」とだけ記された。かように過度の配慮を見せる日本政府が断固たる態度を取れるのか甚だ疑問である。さらに、この場合の協力停止は通告から1年後であり、具体的な手順や効果も明らかでない上、協定の終了に係る条文には安全保障に係る状況等に考慮を払う旨の文言も含まれており、歯止め足り得るかに疑義がある。

無条件の再処理容認
2.日本が原発輸出を企図して締結した原子力協定では、再処理及びウラン濃縮は認められないか(ヨルダン、UAE)、別途の合意がある場合に限り認められる(ベトナム、トルコ)。日トルコ協定では、政府は「認めることはない」として形式的条文である旨を強調した。だが、本協定はインドによる再処理及び20%未満のウラン濃縮を認めるものである(20%以上は日本の同意が必要)。再処理はIAEAの保障措置を条件とするが、IAEAの査察対象は民生施設に限られる。日本政府は、NPT未加盟国との唯一の原子力協定である本協定の締結により「インドを国際的な不拡散体制に実質的に参加させることにつながる」とするが、同国は「核開発は自国の権利」との立場であり、本協定への核実験条項の明記すら拒んだことから、実効性には強い懸念がある。

広島市長・長崎市長及びインド地元住民の反対

3.被爆地広島及び長崎の市長は11月7日、協定交渉中止を政府に要請、本協定署名後も懸念を表明した。また、原発ゼロの会ではインドの市民運動関係者らから直に反対の声を伺ってきた。本協定の署名及びその内容は、このような真摯な訴えに耳を傾けた結果とは思われない。

原発ゼロの会役員
共同代表:河野太郎(自民党)、近藤昭一(民進党)
世話人:阿部知子(民進党)、逢坂誠二(民進党)、初鹿明博(民進党)、真山勇一(民進党)、笠井 亮(日本共産党)、河野正美(日本維新の会)、玉城デニー(自由党)、照屋寛徳(社民党)
顧問: 加藤修一(公明党)、山内康一(民進党)、鈴木 望(日本維新の会)
事務局長:阿部知子(民進党)

* 原発ゼロの会には、8党・会派及び無所属の衆参国会議員78名が参加しています。

【PDF版】


2016年2月 4日 (木)

【談話】日印原子力協定「原則合意」の再考を(2016/2/4)

日印原子力協定「原則合意」の再考を(談話)【PDF】

2016年2月4日
原発ゼロの会役員

 昨年12月12日、安倍総理大臣はインド・モディ首相と首脳会談を行い、日印原子力協定について「原則合意」に至った。しかし、両首脳の「共同声明」においても、本件に係る「覚書」においても、具体的な合意内容が明らかにされていない。原発輸出には様々な問題がある中で、特に、核拡散防止条約(NPT)未加盟のインド向けについては、核不拡散上重大なリスクがあり、一層の慎重さが求められる。我々は以下の点に鑑み、今般の「原則合意」を憂慮し、日本政府に対し再考を促すものである。

原子力供給国グループ(NSG)による例外化
1. インド側は、NSGが2008年にインドの例外化を承認し日本も支持したため、NPT非加盟は協定交渉の障害とならないとし、「NPTは特定の時代状況の産物」と相対化さえしている。NSGによる例外化と、これを受け米国等がインドと協定を締結したことはNPTを形骸化させるものであるが、日本がこの現状を追認したまま協定を締結すれば、核不拡散体制にとって致命的な一歩となる。

核実験の場合の協力停止措置
2. 安倍総理は「インドが核実験を行った場合には、協力を停止する」とし、かかる日本の立場は「インド側も了解している」と明言したが、「共同声明」等には明記されていない。協定に停止措置が明文化されるのかさえ明らかではない。

使用済み核燃料の再処理
3. 「原則合意」では再処理の扱いが明らかにされていない。「再処理・濃縮禁止」は譲ってはならない一線であるが、インド側は同国の原子力計画において再処理が不可欠であると強調し再処理が認められたことを示唆している。

広島市長・長崎市長及びインド地元住民の反対
4. 被爆地広島及び長崎の市長は安倍総理の訪印前に連名で交渉中止を要請した。また、インド国内では原発建設予定地の地元住民が政府の弾圧の下でも反対運動を展開している。ヒロシマ、ナガサキ、そしてフクシマを経験した日本の政府として、このような声に誠実に応える義務がある。

原則の堅持を
5. 今般の「原則合意」は、他国とインドとの協定よりも厳格な条件であるのか、NPT加盟国への要求と同等以上の軍事転用防止措置が盛り込まれているのかといったことさえも甚だ不透明である。商業的利益を顧慮し、原発輸出推進のために原則を曲げるならば、武器輸出等の軍事的協力と合わせ、原発自体のリスク、核拡散リスク、さらには地政学的リスクを増すことになるという懸念や疑念に日本政府は真摯に向き合うべきである。

原発ゼロの会
代表:近藤昭一(民主党)
世話人:阿部知子(民主党)、逢坂誠二(民主党)、
     笠井 亮(日本共産党)、初鹿明博(維新の党)、
     真山勇一(維新の党)、河野正美(おおさか維新の会)、
     玉城デニー(生活の党と山本太郎となかまたち)、照屋寛徳(社民党)
顧問:加藤修一(公明党)、山内康一(民主党)、鈴木 望(無所属)
事務局長:阿部知子(民主党)
* 原発ゼロの会には、9党・無所属の衆参国会議員76名が参加しています。

【PDF】日印原子力協定「原則合意」の再考を(談話)

2015年8月11日 (火)

川内原発1号機再稼働について

本日8月11日、九州電力川内原発1号機が起動しました。
原発ゼロの会では昨年11月に「原発再稼働をめぐる「無責任構造」からの脱却を求める」(談話)を公表しておりますが、この中で提起した課題が解決しないまま再稼働に至ったことは遺憾です。

次回第53回国会エネルギー調査会(準備会)では、原子力規制委員会発足3年というタイミングでもありますので、再稼働問題をはじめとして、規制委・規制庁の3年間の評価と課題について、国会事故調提言のフォローアップとあわせて議論したいと考えております。9月10日開催予定です。

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原発再稼働をめぐる「無責任構造」からの脱却を求める(談話)【PDF】

2014年11月6日
原発ゼロの会役員

 九州電力川内原発の再稼働に向け、10月28日に薩摩川内市長が同意を表明し、鹿児島県議会でも県知事同意への環境整備が大詰めを迎えている。しかし、東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえた安全確保策となっているのか、万が一の事故が起こった際のサイト内外の対策に現実性があるのか、疑問は解消していない。原子力規制委員会、政府及び立地自治体は異論に十分耳を傾けず、形式的に手続きを進めている。政府は法的裏付けのない言葉だけの「責任」をアピールし、立地自治体もそれを知りながら、さも国から保証を得たかのように振る舞う中、責任の不在は深刻である。
 原発ゼロの会は、3.11の反省に基づき原子力規制委員会創設をはじめとする原子力規制改革がなされたにも関わらず、各主体の役割・責任が曖昧なまま、同委設置法案の国会審議や附帯決議の趣旨を無視した恣意的な法解釈と既成事実の積み重ねの中で原発再稼働に至ろうとしていることを大いに憂慮する。
 原発ゼロの会は、「核のゴミ」問題の未解決という現状を含め、「無責任構造」を脱却するために、4項目につき法的整理及び明確化を図り緊急に措置を講ずることを提言するとともに、規制委設置法及び関係法制の有効な見直しに積極的に関与していく。

原発再稼働の是非を判断する責任の明確化
1. 原子炉設置変更許可等所定の許認可を規制委から得た事業者がその一存で再稼働を行なうことが法律上は妨げられず、政府又は規制委に再稼働判断の責任が法的に課せられていない。原発再稼働を判断する法的責任を明確化すべきである。

避難計画を含む地域原子力防災計画の国による審査と実効性担保
2. 原子力規制委員会設置法の本来の趣旨に基づき規制委が、又は原子力防災会議及び内閣府原子力防災担当部門が、避難計画を含む地域原子力防災計画を総合的に審査、認定することとし、国が実効性を担保する責任を負うべきである。

「地元同意」と「安全協定」の法定化
3. 原発再稼働への同意を含む自治体の権限、住民意思を反映した適切な同意形成及び事業者の義務について、並びに安全協定について、法律に明記すべきである。当該法的措置が講じられるまでの間も、政府は原子力事業者に対し、立地自治体以外の自治体との安全協定締結及び既存の安全協定の内容改定を促すべきである。

「核のゴミ」問題に決着を
4. 将来世代への責任として、使用済み核燃料の総量管理、暫定保管、乾式貯蔵などの政策を確立し、かつ再処理から直接処分へ政策転換すべきである。

原発ゼロの会
共同代表:河野太郎(自民党)、近藤昭一(民主党)
世話人:鈴木 望(維新の党)、真山勇一(維新の党)、山内康一(みんなの党)、
     笠井 亮(日本共産党)、玉城デニー(生活の党)、
     照屋寛徳(社民党)、阿部知子(無所属)
顧問:加藤修一(公明党)、逢坂誠二(民主党)
事務局長:阿部知子(無所属)

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《解説》 原発再稼働をめぐる「無責任構造」からの脱却を求める(談話)

2014年11月6日
原発ゼロの会役員

 川内原発再稼働については、新規制基準そのものの問題、適合性審査の進め方、パブコメの取り扱いを含めた市民参加のあり方、火山リスク評価、避難計画の内容等、多岐にわたる問題が指摘されているが、原発ゼロの会としては、特に法的側面に焦点を当てて検証作業を行なってきた。以下、提言の背景及び内容を説明する。


原発再稼働の是非を判断する責任の明確化
1. 原子炉設置変更許可等所定の許認可を規制委から得た事業者がその一存で再稼働を行なうことが法律上は妨げられず、政府又は規制委に再稼働判断の責任が法的に課せられていない。原発再稼働を判断する法的責任を明確化すべきである。

(1) 政府は本年4月に閣議決定したエネルギー基本計画において「原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」と明記した。川内原発についても「原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められ、原子炉設置変更許可が行われました」とし、「これにより、再稼働に求められる安全性が確保されることが確認されました」ため、エネルギー基本計画に基づき再稼働を進めると表明した。ここで第一に明確なのは、「再稼働に求められる安全性」が新規制基準への適合性に限定され、矮小化されていることである。

(2) 原子力規制委員会は「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全」に資するため「原子力利用における安全の確保を図ること」を任務としているが(同設置法第1条及び第3条)、田中俊一規制委員長は「規制委は再稼働するかどうかについては判断しない」「規制基準の適合性審査であって、安全だとは言わない」と繰り返してきた。川内原発の適合性審査についても「運転に当たり求めてきたレベルの安全性が確保されることを確認した」と規制委が判断する安全性の範囲を限局した。なお、政府答弁書(本年10月7日閣議決定)は「運転に当たり求めてきたレベルの安全性」と「再稼働に求められる安全性」とは同旨であるとしている。

(3) 原子力規制委員会設置法案の国会審議においては、衆法たる同法案提出者も細野豪志担当大臣(当時)ら政府側も「独立した規制委が再稼働を判断する」と繰り返し答弁をしていた。法案提出者が同法案にいう「安全」は原子炉の安全に止まらず、防災対策など全てを含んでいると明確に答弁していることとあわせ、現在の規制委の姿勢は規制設置法に違反していると言わざるを得ない。

(4) さらに、政府及び規制委は原子炉等規制法上、再稼働を判断するのは「一義的に事業者」であると答えている。この点、言を左右にして曖昧化する場面も多々あることとあわせ、法律上の建前とレトリックを使い分けて「無責任構造」を糊塗しながら、再稼働を進めようとする政府の姿勢は問題である。付言すれば、政府は鹿児島県及び薩摩川内市に対して「万が一事故が起きた場合には、政府は、関係法令に基づき、責任をもって対処」すると強調するが、これは前掲政府答弁書が明言する通り、一義的な責任は事業者にあるとの法的建前を前提に、原子力災害対策措置法等の関係法令に基づき対処すると説明しているに過ぎず、政府は、事故が起こった場合の「結果責任」についても、再稼働を進めると明記したエネルギー基本計画を閣議決定したことから生じる責任についても明言を避けている。

(5) 科学的判断に絶対はなく、また田中規制委員長らが「絶対安全、ゼロリスクはない」と強調することはその通りであって、それ故にその判断には科学的な割り切りが必然的に伴う。規制委の審査の公開性・透明性の確保に加え、パブリックコメントの手法・意見反映の不十分さに見られるような欠陥を改めて、より参加性を高め、審査に対する信頼性及び納得感を最大限得られるようにした上で、規制委に再稼働について判断する責任を担わせるのも一案である。あるいは、このような科学の限界を踏まえ、規制委の科学的判断が受け入れ可能であるのかを判断する責任を政府が引き受けることも考えられる。当然ながら、後述する「地元」の関与は、その権限の程度は制度設計によるとしても必須である。

(6) なお、川内原発の火山リスク評価については専門家から根本的な批判が突き付けられており、九州電力及び規制委の判断については「非科学的」な割り切りとの疑義さえある。そうした中で、11月2日、日本火山学会の原子力問題対応委員会は「巨大噴火の予測と監視に関する提言」を公表し、「噴火警報を有効に機能させるためには、噴火予測の可能性、限界、曖昧さの理解が不可欠」として、規制委の「火山影響評価ガイド」の見直しを求めた。同委の石原和弘委員長(京都大学名誉教授)は同ガイドに基づき川内原発の新規制基準適合性が認められたことについても「疑問が残る」とした。


避難計画を含む地域原子力防災計画の国による審査と実効性担保
2. 原子力規制委員会設置法の本来の趣旨に基づき規制委が、又は原子力防災会議及び内閣府原子力防災担当部門が、避難計画を含む地域原子力防災計画を総合的に審査、認定することとし、国が実効性を担保する責任を負うべきである。

(1) 政府は「再稼働に求められる安全性」は規制基準適合によってのみ確保されるとの立場であるが、これに避難計画を含む地域原子力防災計画の策定及び実効性確保が含まれないのは致命的な問題である。また、政府は「ワーキングチームにおいて、川内地域の避難計画を含めた緊急時対応が具体的かつ合理的なものとなっていることが確認され、その結果」が原子力防災会議に「報告され、了承された」とするが(前掲政府答弁書)、この確認、了承は何ら法的な裏付けのない行為であり、政府が責任をもって避難計画等を審査し、実効性を担保するものではない。

(2) なお、原子力防災会議が確認したとされる避難計画は、要援護者の避難に係る現実性の欠如や非人間性が批判されている他、避難施設が災害対策基本法に違反し津波等の危険区域に設定されているなど、「具体的かつ合理的」とは認められない点が数多く指摘されている。「国も前面に立つ」としながら、その内実が伴っていないとの感を強くせざるを得ない。

(3) 最も住民に近く、地域の状況に精通した地方自治体が原子力防災において役割を果たすべきことは当然だが、原子力災害の特殊性並びに国(原子力関係組織のみならず自衛隊等を含む)、自治体及び事業者が緊密な連携の下に総力を挙げて対処することとなるため、地域原子力防災計画については、災害対策基本法に基づき自治体に地域防災計画(原子力災害対策編)の策定責任を課し国が助言・勧告する現行法の仕組みを超えた国の責任ある関与が求められる。


「地元同意」と「安全協定」の法定化
3. 原発再稼働への同意を含む自治体の権限、住民意思を反映した適切な同意形成及び事業者の義務について、並びに安全協定について、法律に明記すべきである。当該法的措置が講じられるまでの間も、政府は原子力事業者に対し、立地自治体以外の自治体との安全協定締結及び既存の安全協定の内容改定を促すべきである。

(1) 現行法上、原発再稼働に対する「地元同意」にも、その根拠となる「安全協定」にも法的な裏付けがなく、もちろん地元の範囲や同意形成手続きについても法的定めが不在である。原発事故時の多大なリスクを引き受ける地元住民及び自治体が再稼働に対して意思を表明する権利を有するのは当然のことである。原子炉の安全性に対する科学的判断や原子力防災対策の内容等が社会的に許容されるものであるのか、リスクを引き受ける妥当性があるのかについて、信頼感や納得感という側面を含め、地元住民及び自治体の意思が尊重される必要がある。

(2) また、現行の安全協定では同意権限が立地自治体に付与されているが、東京電力福島第一原発事故の経験及びそれを踏まえて30キロ圏に拡大されたUPZ(緊急時防護措置準備区域)を鑑みれば、同意権限は少なくとも30キロ圏内の自治体に付与されるべきである。また、それを超える圏域でも原発事故の影響が及ぶ可能性が当然に想定されるため、同意権については議論が必要であるが、意見表明権等一定の権限が付与されて然るべきである。

(3) なお、米国やフランス等海外の事例を見ると、必ずしも地元自治体に同意権限を与えている訳ではないが、それは独立性が高く、強力で、かつ信頼性の高い規制機関の存在を前提としているためであると考えられる。例えば、規制機関の説明責任と関係自治体等とのコミュニケーションが制度化されているフランスの例(地域情報委員会(CLI))や、NRC(原子力規制委員会)が避難計画等を審査しその妥当性が原発稼働の条件となっているアメリカの例から学べることは多い。日本においても規制機関等の説明責任やコミュニケーションの実質化及び制度化は強く求められるところであり、将来的にはそのような基盤の上で地元の権限のあり方を再構築することも当然あり得るが、現時点では、明確に地元が権限を持ち、事業者及び規制機関等に法的に対抗できることが必要であると思われる。

(4) 川内原発の再稼働を巡っては、既に薩摩川内市及び鹿児島県のみで同意手続きが進んでいるが、これに対して、いちき串木野市議会及び日置市議会が県知事宛意見書を採択するなど、周辺自治体からは関与と同意権限を求める声が上がっている。政府、九州電力及び鹿児島県に対しては、周辺自治体の意思を無視して再稼働を進めることがないよう強く自制と対応を求めるものである。


「核のゴミ」問題に決着を
4. 将来世代への責任として、使用済み核燃料の総量管理、暫定保管、乾式貯蔵などの政策を確立し、かつ再処理から直接処分へ政策転換すべきである。

(1) 各原発における使用済み燃料の貯蔵余地はひっ迫しており、3年程度で置き場がなくなる原発もある。また、単なる貯蔵スペースの問題にとどまらず、延期を繰り返している六ヶ所再処理工場の稼働時期もコストも全く見通しが不透明であり、また、英仏で加工されたMOX燃料を利用するプルサーマル発電が再開できる目途は現時点で立っておらず、少なくとも拡大する可能性はない。何より、最終処分について、その場所をはじめ、全く見通しが得られていない現状にある。既に約1万7千トンもの使用済み燃料が各原発及び六ヶ所再処理工場で保管されており、また、日本は海外保管分と合わせ約47.1トンものプルトニウムを利用の当てもなく保有している。

(2) こうした中で、日本学術会議は高レベル放射性廃棄物問題について、「総量管理」と「暫定保管」を社会的合意形成に支えられた政策として確立することを提言している。その上で、「各電力会社の配電圏域内での暫定保管施設の建設」を原則とし、「使用済燃料をどこの暫定保管施設で保管するかを事業者が特定確保することを、原発の操業の前提条件とするべきである」とした。この暫定保管施設には、使用済み燃料の場合でも「基本的に乾式貯蔵技術が適している」と評価している。暫定保管の期間については、「一世代に相当する30年を一つの期間として、その期間の間に、その後のより長期の政策選択についての判断をするべきである」としている。原発ゼロの会は、以上の提言を採用すべきであると考える。

(3) 原子力委員会の核燃料サイクルのコスト試算(2011年11月)は、「軽水炉使用済燃料を全量再処理する再処理モデルが約2 円/kWh、軽水炉使用済燃料の直接処分モデルが約1 円/kWh 」「使用済燃料の一部を中間貯蔵したのち再処理する現状モデル(再処理50%、中間貯蔵後に再処理50%)のコストはそのほぼ中間(約1.4 円/kWh)」としている。これはあくまでモデルプラント方式で、一定の仮定を置いた試算であるが、再処理に経済合理性がないことは明白である。


原子力規制委員会設置法の有効な見直しを
 原子力規制委員会設置法は附則で3年以内の見直しを定めており、政府でも検討チームを設置するなど、議論が開始されている。本談話で取り上げた事項以外にも、原発ゼロの会が指摘してきた規制委員の欠格要件や規制庁職員のノーリターンルールの問題、国会事故調提言等の反映など、課題は山積している。原発ゼロの会としては、原子力規制委員会設置法及び関係法制の有効な見直しに寄与すべく、引き続き議論に積極的に関与していく。

以上

【PDF】原発再稼働をめぐる「無責任構造」からの脱却を求める(談話)

2014年11月 6日 (木)

【談話】原発再稼働をめぐる「無責任構造」からの脱却を求める(2014/11/6)

原発再稼働をめぐる「無責任構造」からの脱却を求める(談話)【PDF】

2014年11月6日
原発ゼロの会役員

 九州電力川内原発の再稼働に向け、10月28日に薩摩川内市長が同意を表明し、鹿児島県議会でも県知事同意への環境整備が大詰めを迎えている。しかし、東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえた安全確保策となっているのか、万が一の事故が起こった際のサイト内外の対策に現実性があるのか、疑問は解消していない。原子力規制委員会、政府及び立地自治体は異論に十分耳を傾けず、形式的に手続きを進めている。政府は法的裏付けのない言葉だけの「責任」をアピールし、立地自治体もそれを知りながら、さも国から保証を得たかのように振る舞う中、責任の不在は深刻である。
 原発ゼロの会は、3.11の反省に基づき原子力規制委員会創設をはじめとする原子力規制改革がなされたにも関わらず、各主体の役割・責任が曖昧なまま、同委設置法案の国会審議や附帯決議の趣旨を無視した恣意的な法解釈と既成事実の積み重ねの中で原発再稼働に至ろうとしていることを大いに憂慮する。
 原発ゼロの会は、「核のゴミ」問題の未解決という現状を含め、「無責任構造」を脱却するために、4項目につき法的整理及び明確化を図り緊急に措置を講ずることを提言するとともに、規制委設置法及び関係法制の有効な見直しに積極的に関与していく。

原発再稼働の是非を判断する責任の明確化
1. 原子炉設置変更許可等所定の許認可を規制委から得た事業者がその一存で再稼働を行なうことが法律上は妨げられず、政府又は規制委に再稼働判断の責任が法的に課せられていない。原発再稼働を判断する法的責任を明確化すべきである。

避難計画を含む地域原子力防災計画の国による審査と実効性担保
2. 原子力規制委員会設置法の本来の趣旨に基づき規制委が、又は原子力防災会議及び内閣府原子力防災担当部門が、避難計画を含む地域原子力防災計画を総合的に審査、認定することとし、国が実効性を担保する責任を負うべきである。

「地元同意」と「安全協定」の法定化
3. 原発再稼働への同意を含む自治体の権限、住民意思を反映した適切な同意形成及び事業者の義務について、並びに安全協定について、法律に明記すべきである。当該法的措置が講じられるまでの間も、政府は原子力事業者に対し、立地自治体以外の自治体との安全協定締結及び既存の安全協定の内容改定を促すべきである。

「核のゴミ」問題に決着を
4. 将来世代への責任として、使用済み核燃料の総量管理、暫定保管、乾式貯蔵などの政策を確立し、かつ再処理から直接処分へ政策転換すべきである。

原発ゼロの会
共同代表:河野太郎(自民党)、近藤昭一(民主党)
世話人:鈴木 望(維新の党)、真山勇一(維新の党)、山内康一(みんなの党)、
     笠井 亮(日本共産党)、玉城デニー(生活の党)、
     照屋寛徳(社民党)、阿部知子(無所属)
顧問:加藤修一(公明党)、逢坂誠二(民主党)
事務局長:阿部知子(無所属)

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《解説》 原発再稼働をめぐる「無責任構造」からの脱却を求める(談話)

2014年11月6日
原発ゼロの会役員

 川内原発再稼働については、新規制基準そのものの問題、適合性審査の進め方、パブコメの取り扱いを含めた市民参加のあり方、火山リスク評価、避難計画の内容等、多岐にわたる問題が指摘されているが、原発ゼロの会としては、特に法的側面に焦点を当てて検証作業を行なってきた。以下、提言の背景及び内容を説明する。


原発再稼働の是非を判断する責任の明確化
1. 原子炉設置変更許可等所定の許認可を規制委から得た事業者がその一存で再稼働を行なうことが法律上は妨げられず、政府又は規制委に再稼働判断の責任が法的に課せられていない。原発再稼働を判断する法的責任を明確化すべきである。

(1) 政府は本年4月に閣議決定したエネルギー基本計画において「原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」と明記した。川内原発についても「原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められ、原子炉設置変更許可が行われました」とし、「これにより、再稼働に求められる安全性が確保されることが確認されました」ため、エネルギー基本計画に基づき再稼働を進めると表明した。ここで第一に明確なのは、「再稼働に求められる安全性」が新規制基準への適合性に限定され、矮小化されていることである。

(2) 原子力規制委員会は「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全」に資するため「原子力利用における安全の確保を図ること」を任務としているが(同設置法第1条及び第3条)、田中俊一規制委員長は「規制委は再稼働するかどうかについては判断しない」「規制基準の適合性審査であって、安全だとは言わない」と繰り返してきた。川内原発の適合性審査についても「運転に当たり求めてきたレベルの安全性が確保されることを確認した」と規制委が判断する安全性の範囲を限局した。なお、政府答弁書(本年10月7日閣議決定)は「運転に当たり求めてきたレベルの安全性」と「再稼働に求められる安全性」とは同旨であるとしている。

(3) 原子力規制委員会設置法案の国会審議においては、衆法たる同法案提出者も細野豪志担当大臣(当時)ら政府側も「独立した規制委が再稼働を判断する」と繰り返し答弁をしていた。法案提出者が同法案にいう「安全」は原子炉の安全に止まらず、防災対策など全てを含んでいると明確に答弁していることとあわせ、現在の規制委の姿勢は規制設置法に違反していると言わざるを得ない。

(4) さらに、政府及び規制委は原子炉等規制法上、再稼働を判断するのは「一義的に事業者」であると答えている。この点、言を左右にして曖昧化する場面も多々あることとあわせ、法律上の建前とレトリックを使い分けて「無責任構造」を糊塗しながら、再稼働を進めようとする政府の姿勢は問題である。付言すれば、政府は鹿児島県及び薩摩川内市に対して「万が一事故が起きた場合には、政府は、関係法令に基づき、責任をもって対処」すると強調するが、これは前掲政府答弁書が明言する通り、一義的な責任は事業者にあるとの法的建前を前提に、原子力災害対策措置法等の関係法令に基づき対処すると説明しているに過ぎず、政府は、事故が起こった場合の「結果責任」についても、再稼働を進めると明記したエネルギー基本計画を閣議決定したことから生じる責任についても明言を避けている。

(5) 科学的判断に絶対はなく、また田中規制委員長らが「絶対安全、ゼロリスクはない」と強調することはその通りであって、それ故にその判断には科学的な割り切りが必然的に伴う。規制委の審査の公開性・透明性の確保に加え、パブリックコメントの手法・意見反映の不十分さに見られるような欠陥を改めて、より参加性を高め、審査に対する信頼性及び納得感を最大限得られるようにした上で、規制委に再稼働について判断する責任を担わせるのも一案である。あるいは、このような科学の限界を踏まえ、規制委の科学的判断が受け入れ可能であるのかを判断する責任を政府が引き受けることも考えられる。当然ながら、後述する「地元」の関与は、その権限の程度は制度設計によるとしても必須である。

(6) なお、川内原発の火山リスク評価については専門家から根本的な批判が突き付けられており、九州電力及び規制委の判断については「非科学的」な割り切りとの疑義さえある。そうした中で、11月2日、日本火山学会の原子力問題対応委員会は「巨大噴火の予測と監視に関する提言」を公表し、「噴火警報を有効に機能させるためには、噴火予測の可能性、限界、曖昧さの理解が不可欠」として、規制委の「火山影響評価ガイド」の見直しを求めた。同委の石原和弘委員長(京都大学名誉教授)は同ガイドに基づき川内原発の新規制基準適合性が認められたことについても「疑問が残る」とした。


避難計画を含む地域原子力防災計画の国による審査と実効性担保
2. 原子力規制委員会設置法の本来の趣旨に基づき規制委が、又は原子力防災会議及び内閣府原子力防災担当部門が、避難計画を含む地域原子力防災計画を総合的に審査、認定することとし、国が実効性を担保する責任を負うべきである。

(1) 政府は「再稼働に求められる安全性」は規制基準適合によってのみ確保されるとの立場であるが、これに避難計画を含む地域原子力防災計画の策定及び実効性確保が含まれないのは致命的な問題である。また、政府は「ワーキングチームにおいて、川内地域の避難計画を含めた緊急時対応が具体的かつ合理的なものとなっていることが確認され、その結果」が原子力防災会議に「報告され、了承された」とするが(前掲政府答弁書)、この確認、了承は何ら法的な裏付けのない行為であり、政府が責任をもって避難計画等を審査し、実効性を担保するものではない。

(2) なお、原子力防災会議が確認したとされる避難計画は、要援護者の避難に係る現実性の欠如や非人間性が批判されている他、避難施設が災害対策基本法に違反し津波等の危険区域に設定されているなど、「具体的かつ合理的」とは認められない点が数多く指摘されている。「国も前面に立つ」としながら、その内実が伴っていないとの感を強くせざるを得ない。

(3) 最も住民に近く、地域の状況に精通した地方自治体が原子力防災において役割を果たすべきことは当然だが、原子力災害の特殊性並びに国(原子力関係組織のみならず自衛隊等を含む)、自治体及び事業者が緊密な連携の下に総力を挙げて対処することとなるため、地域原子力防災計画については、災害対策基本法に基づき自治体に地域防災計画(原子力災害対策編)の策定責任を課し国が助言・勧告する現行法の仕組みを超えた国の責任ある関与が求められる。


「地元同意」と「安全協定」の法定化
3. 原発再稼働への同意を含む自治体の権限、住民意思を反映した適切な同意形成及び事業者の義務について、並びに安全協定について、法律に明記すべきである。当該法的措置が講じられるまでの間も、政府は原子力事業者に対し、立地自治体以外の自治体との安全協定締結及び既存の安全協定の内容改定を促すべきである。

(1) 現行法上、原発再稼働に対する「地元同意」にも、その根拠となる「安全協定」にも法的な裏付けがなく、もちろん地元の範囲や同意形成手続きについても法的定めが不在である。原発事故時の多大なリスクを引き受ける地元住民及び自治体が再稼働に対して意思を表明する権利を有するのは当然のことである。原子炉の安全性に対する科学的判断や原子力防災対策の内容等が社会的に許容されるものであるのか、リスクを引き受ける妥当性があるのかについて、信頼感や納得感という側面を含め、地元住民及び自治体の意思が尊重される必要がある。

(2) また、現行の安全協定では同意権限が立地自治体に付与されているが、東京電力福島第一原発事故の経験及びそれを踏まえて30キロ圏に拡大されたUPZ(緊急時防護措置準備区域)を鑑みれば、同意権限は少なくとも30キロ圏内の自治体に付与されるべきである。また、それを超える圏域でも原発事故の影響が及ぶ可能性が当然に想定されるため、同意権については議論が必要であるが、意見表明権等一定の権限が付与されて然るべきである。

(3) なお、米国やフランス等海外の事例を見ると、必ずしも地元自治体に同意権限を与えている訳ではないが、それは独立性が高く、強力で、かつ信頼性の高い規制機関の存在を前提としているためであると考えられる。例えば、規制機関の説明責任と関係自治体等とのコミュニケーションが制度化されているフランスの例(地域情報委員会(CLI))や、NRC(原子力規制委員会)が避難計画等を審査しその妥当性が原発稼働の条件となっているアメリカの例から学べることは多い。日本においても規制機関等の説明責任やコミュニケーションの実質化及び制度化は強く求められるところであり、将来的にはそのような基盤の上で地元の権限のあり方を再構築することも当然あり得るが、現時点では、明確に地元が権限を持ち、事業者及び規制機関等に法的に対抗できることが必要であると思われる。

(4) 川内原発の再稼働を巡っては、既に薩摩川内市及び鹿児島県のみで同意手続きが進んでいるが、これに対して、いちき串木野市議会及び日置市議会が県知事宛意見書を採択するなど、周辺自治体からは関与と同意権限を求める声が上がっている。政府、九州電力及び鹿児島県に対しては、周辺自治体の意思を無視して再稼働を進めることがないよう強く自制と対応を求めるものである。


「核のゴミ」問題に決着を
4. 将来世代への責任として、使用済み核燃料の総量管理、暫定保管、乾式貯蔵などの政策を確立し、かつ再処理から直接処分へ政策転換すべきである。

(1) 各原発における使用済み燃料の貯蔵余地はひっ迫しており、3年程度で置き場がなくなる原発もある。また、単なる貯蔵スペースの問題にとどまらず、延期を繰り返している六ヶ所再処理工場の稼働時期もコストも全く見通しが不透明であり、また、英仏で加工されたMOX燃料を利用するプルサーマル発電が再開できる目途は現時点で立っておらず、少なくとも拡大する可能性はない。何より、最終処分について、その場所をはじめ、全く見通しが得られていない現状にある。既に約1万7千トンもの使用済み燃料が各原発及び六ヶ所再処理工場で保管されており、また、日本は海外保管分と合わせ約47.1トンものプルトニウムを利用の当てもなく保有している。

(2) こうした中で、日本学術会議は高レベル放射性廃棄物問題について、「総量管理」と「暫定保管」を社会的合意形成に支えられた政策として確立することを提言している。その上で、「各電力会社の配電圏域内での暫定保管施設の建設」を原則とし、「使用済燃料をどこの暫定保管施設で保管するかを事業者が特定確保することを、原発の操業の前提条件とするべきである」とした。この暫定保管施設には、使用済み燃料の場合でも「基本的に乾式貯蔵技術が適している」と評価している。暫定保管の期間については、「一世代に相当する30年を一つの期間として、その期間の間に、その後のより長期の政策選択についての判断をするべきである」としている。原発ゼロの会は、以上の提言を採用すべきであると考える。

(3) 原子力委員会の核燃料サイクルのコスト試算(2011年11月)は、「軽水炉使用済燃料を全量再処理する再処理モデルが約2 円/kWh、軽水炉使用済燃料の直接処分モデルが約1 円/kWh 」「使用済燃料の一部を中間貯蔵したのち再処理する現状モデル(再処理50%、中間貯蔵後に再処理50%)のコストはそのほぼ中間(約1.4 円/kWh)」としている。これはあくまでモデルプラント方式で、一定の仮定を置いた試算であるが、再処理に経済合理性がないことは明白である。


原子力規制委員会設置法の有効な見直しを
 原子力規制委員会設置法は附則で3年以内の見直しを定めており、政府でも検討チームを設置するなど、議論が開始されている。本談話で取り上げた事項以外にも、原発ゼロの会が指摘してきた規制委員の欠格要件や規制庁職員のノーリターンルールの問題、国会事故調提言等の反映など、課題は山積している。原発ゼロの会としては、原子力規制委員会設置法及び関係法制の有効な見直しに寄与すべく、引き続き議論に積極的に関与していく。

以上

【PDF】原発再稼働をめぐる「無責任構造」からの脱却を求める(談話)

2014年7月18日 (金)

【談話】原子力規制委員会の独立性・中立性確保を強く求める(2014/7/18)

原子力規制委員会の独立性・中立性確保を強く求める(談話)

原発ゼロの会役員

原子力規制委員会は7月16日、九州電力川内原発1、2号機の新規制基準適合性に関する審査書案をとりまとめた。本審査書案の内容はもちろん、避難計画の問題など原発再稼働に係る様々な論点については、原発ゼロの会としても引き続き注視し、適宜提言等を行なうこととしているが、適合性審査をはじめ重大な任に当たる原子力規制委員会及び原子力規制庁の独立性・中立性に強く疑念を抱かせる人事が行なわれていることから、同委の任務遂行の大前提として、早急に是正を求めるものである。

◇田中知次期原子力規制委員会委員の利益相反問題について
1. 原発ゼロの会は、去る5月30日に役員談話「田中知氏の原子力規制委員会委員への任命案について」を発表し、田中知氏の原子力産業協会役員歴や東電記念財団等からの報酬・寄附受領事実に照らして、同氏の任命案を撤回することを求めた。しかし、政府は同人事案を撤回せず、国会も本人事に同意をした。

2. 田中知氏については、直近3年以内に限らず、原子力事業者からの多額の寄附受領の事実が明らかになっていたが、この度7月5日付朝日新聞報道により、新事実が判明した。即ち、同氏がつい最近まで三菱FBRシステムズ「アドバイザリー・コミッティー」(本年6月まで)及び日本原燃「ガラス固化技術研究評価委員会 委員長」(同3月まで)を有報酬で務めていたというものである。

3. 政府もこの事実を認識していたが、報道を受けて、問題ないとの見解を表明している。その理由は、報酬が少額(年間50万円未満)であり、専門技術的な立場からの助言を行なうものであったからというものである。なお、いずれの経歴も同氏の核燃料安全審査専門会委員の就任に当たっての自己申告(本年4月22日付)に記載されていないが、同じ理由であるとされる。

4. 一般論としては、規制対象たる原子力事業者等に第三者的立場で助言する任にあることのみをもって利益相反と断ずることはできないが、田中知氏の一連の経歴及び報酬・寄附受領の事実と合わせると、同氏の原子力規制委員会委員としての適性にさらなる疑問を生じさせるものである。

5. 政府は民主党政権時の規制委員欠格要件のガイドラインを適用していないことを明言しているが、それによって任命基準のみならず、情報開示も大きく後退したことは明らかである。報道機関の大学への情報開示請求等によって事実が明らかになり、政府が認めるという一連の経過は、あるべき姿からは程遠い。

◇森本英香原子力規制庁次長の環境省官房長就任について
6. 環境省は7月8日付で森本英香原子力規制庁次長を官房長に充てる人事を発令した。森本氏の後任の規制庁次長には清水康弘環境省総合環境政策局長が就いた。

7. 原子力規制委員会設置法附則第6条第2項はいわゆる「ノーリターン・ルール」を定めている。ノーリターン・ルールは原子力規制組織改革の眼目として同法案の国会審議の焦点の一つとなり、附帯決議にも明記をされた。附則第6条第2項は「原子力利用の推進」に係る行政組織を対象としており、国会審議でも確認された通り、その意味では環境省はノーリターン・ルールの対象とはならない。但し、環境省は除染等を所掌事務としており、規制庁との間で緊張関係を保つべきであることは言うまでもない。

8. 原子力規制庁の初代次長である森本氏は同庁のいわば「顔」であり、その森本氏が同庁に「骨を埋める」ことなく、易々と出身の環境省に復帰し、要職に就いたことには驚きを禁じ得ない。清水局長が後任についた人事と合わせて考えると、規制庁次長ポストが環境省の「指定席」となり、あるいは官僚の出世の単なる一ステップとなってしまうのではないかとの疑念が生じる。

9. 原子力規制庁の人員についてはプロパー人材の養成等を通じて、より強力な体制となることが求められているところである。しかし、幹部人事が回転ドアのように行なわれ、ノーリターン・ルールが骨抜きにされてしまうのであれば、原子力規制委員会を事務局として支える同庁が本来求められる役割を果たすどころか、実務レベルから独立性と中立性を掘り崩すことにつながる。

◇厳格なルールの下で原子力規制委員会及び原子力規制庁の人事に当たるべき
10. 我々は、一連の人事により、「原子力ムラとの決別」という原子力規制委員会新設の本旨が曲げられ、かつ、原子力規制に対する国民の信頼が崩壊することを大いに懸念する。よって、政府は、原子力規制委員会委員長及び委員任命の基準及び原子力規制庁のノーリターン・ルールの指針を改めて策定し、それらの厳格な適用の下で次期規制委員及び規制庁幹部の人事をやり直すべきである。

以上

原発ゼロの会
共同代表:河野太郎(自民党)、近藤昭一(民主党)
世話人:長谷川岳(自民党)、鈴木 望(日本維新の会)、山内康一(みんなの党)
     笠井 亮(日本共産党)、真山勇一(結いの党)、玉城デニー(生活の党)
     照屋寛徳(社民党)、阿部知子(無所属)
顧問:加藤修一(公明党)、逢坂誠二(民主党)
事務局長:阿部知子(無所属)

[PDF]原子力規制委員会の独立性・中立性確保を強く求める(談話)

2014年5月30日 (金)

【談話】田中知氏の原子力規制委員会委員への任命案について(2014/5/30)

田中知氏の原子力規制委員会委員への任命案について(談話)

原発ゼロの会役員

 政府は去る5月27日、田中知氏(東京大学大学院工学系研究科教授)を原子力規制委員会委員に任命することについて衆参両議院に同意を求めた。しかしながら、「利用と規制の分離」「公正中立」「原子力ムラとの決別」「国民の信頼」などを謳った原子力規制委員会設置法の趣旨が十分に尊重されるべきところ、本件任命案は欠格要件に抵触する可能性があるほか、国会の同意を求めるに至る政府の手続きにも瑕疵があると考え、以下問題点を指摘するとともに、撤回と再検討を求めるものである。

◇平成24年に政府が示した欠格要件について
1. 平成24年の原子力規制委員会発足人事の際、政府は「原子力規制委員会委員長及び委員の要件について」(同7月3日・内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室)を公表し、法定事項に加えて「就任前直近3年間に、原子力事業者等及びその団体の役員、従業者等であった者」又は「就任前直近3年間に、同一の原子力事業者等から、個人として、一定額以上の報酬等を受領していた者」を欠格要件とした(「役員、従業者等」について無報酬の者を除外する等の限定はなされていない)。

2. 上記の「原子力事業者等」の定義について、政府は参議院議院運営委員長に提出した文書(平成24年8月24日付)において、「電力会社に加え、電力会社の子会社等経済的に強いつながりが認められるもの」とし、規制委員長・委員候補向け調査票に例示したものとして「原産協会(=日本原子力産業協会)」を明記した。

◇田中知氏の欠格要件抵触可能性について
3. 政府は、原子力規制委員会委員の発足人事の際には上記欠格要件に係る調査情報を開示していたが、今回の人事案については開示されていない。しかし、田中知氏の原子力規制委員会核燃料安全審査専門会委員の就任に当たっての自己申告では、日本原子力産業協会役員(平成23年~24年)、エネルギー総合工学研究所役員(平成26年4月22日現在現職)等の経歴があることが明らかにされている(規制委HPで公表)。また、「1年度あたり50万円以上の報酬等の受領」として東電記念財団(平成23年度)、寄附の受領として日立GEニュークリア・エナジー(平成23年度・60万円)、太平洋コンサルタント(同・50万円)が記載されている。

4. 田中氏の日本原子力産業協会役員就任歴は上記欠格要件に抵触することが明白である。エネルギー総合工学研究所役員就任歴及び東電記念財団からの報酬受領も抵触の疑義がある。

◇欠格要件の変更に関する政府の説明責任について
5. しかし、5月28日の参議院原子力問題特別委員会で、井上信治環境副大臣は上記欠格要件を適用せず人選したと答弁した。また、同委で原子力規制庁は、東電記念財団は電力事業者に相当せず、また、報酬(謝金)は正当なものであるという不透明な解釈を示した。

6. 上記欠格要件には法令又は閣議決定の裏付けはないが、質問主意書への政府答弁書(質問者・服部良一衆議院議員、平成24年9月14日)において、参院での規制委設置法案の審議等を踏まえて作成したことを明記している。閣議決定された答弁書の立場を継承しないのであれば、人事案提示前に説明責任を果たすべきである。

7. 上記欠格要件は国会審議を踏まえて作成されたものであり、2年前の同意人事に係る手続きに際して衆参議運委理事会等において説明がなされたものである。よって、形式的な継承はともかくとして、その内容・趣旨を変更するには相当の理由が求められると考えるが、政府より合理的な説明はなされていない。

以上

原発ゼロの会
共同代表:河野太郎(自民党)、近藤昭一(民主党)
世話人:長谷川岳(自民党)、鈴木 望(日本維新の会)、山内康一(みんなの党)
     笠井 亮(日本共産党)、真山勇一(結いの党)、玉城デニー(生活の党)
     照屋寛徳(社民党)、阿部知子(無所属)
顧問:加藤修一(公明党)、逢坂誠二(民主党)
事務局長:阿部知子(無所属)

[PDF}田中知氏の原子力規制委員会委員への任命案について(談話)

2014年4月18日 (金)

【コメント】トルコならびにアラブ首長国連邦との原子力協定の国会承認をうけて(2014/4/18)

トルコならびにアラブ首長国連邦との原子力協定の国会承認をうけて(コメント)

原発ゼロの会役員

 本日をもって国会承認となったトルコならびにアラブ首長国連邦との原子力協定について、以下の問題点を指摘します。

1. 福島第一原発事故を踏まえた安全確認要件が国際的にも未確立。 原子力協力における安全確認は国際機関の意見等も考慮しつつ行なわれるべきであるが、IAEAによる福島第一原子力発電所事故に関する包括的報告書は作成途中である(2014年末完成予定)。当該報告書の作成においては「事故原因や結果の評価」も目的の一つとされている。すなわち、福島の事故を踏まえた安全確認要件等についての国際的な見解は明らかになっていない。加えて米国原子力規制委員会(NRC)前委員長のヤツコ氏も指摘するとおり、事故時における住民保護の体制が極めて不十分である点も未解決である。

2. 原発輸出における機器等の安全確認体制が未整備である。
 原発関連資機材等の輸出に対する公的信用の付与(JBICによる融資協力やNEXIによる付保)の前提となる安全確認手続きについて、福島第一原発事故前は原子力安全・保安院と経産省産業機械課が平成15年の内規に基づきそれを担っていたが、原子力安全・保安院が廃止され原子力規制庁が設置された後、原子力安全・保安院に代わる安全確認担当機関が決まっていない。また、従前になされていた安全確認の方法も杜撰であり、いかなる機関がそれを担うかということと併せて十分な検討が必要である。

3. トルコにおいて、推進と規制の分離がなされていない。
 具体的輸出案件が準備されているトルコにおいては、原子力推進機関と規制機関の分離がなされていない。上記の公的信用付与にあたっての安全確認においては、「相手国・地域が安全規制を適切に行える体制等を整備していること」を確認することとなっているが、事故を経験した日本の政府が、こうした相手国の現状について「安全規制を適切に行える体制等が整備されている」と評価することは矛盾である。

4. トルコにおける地層調査に信用性がない。
 トルコでの原発建設における地層調査については、敦賀原発直下の活断層を最後まで活断層でないと主張していた日本原電に随意契約で委託調査がなされ、その報告書が非公表となっており、著しく信用性に欠けている。また、地震対策が不十分で周辺インフラの耐震性が低く事故対応が極めて困難とみられる問題、立地自治体であるシノップ市長や地元住民の反対があることなどの指摘に対しても、十分な説明がなされていない。

5. 核不拡散体制の担保がない。
 トルコとの原子力協定には、同国における濃縮・再処理が可能となる規定があり、日本政府が「許可しない」ことをトルコ政府に伝達したということだけでは核不拡散の実効性の担保はなく、加えて使用済み核燃料の処分方法も未確立である。

 以上の問題は原子力協定が発効しても、なお残る現実的な課題です。原発ゼロの会としては、危険な、また倫理的及び社会的な責任所在のない原発輸出が実行されないよう、これからも取り組みを強化していきます。

以上

原発ゼロの会
共同代表:河野太郎(自民党)、近藤昭一(民主党)
世話人:長谷川岳(自民党)、鈴木 望(日本維新の会)、山内康一(みんなの党)
笠井 亮(日本共産党)、真山勇一(結いの党)、玉城デニー(生活の党)
照屋寛徳(社民党)、阿部知子(無所属)
顧問:加藤修一(公明党)、逢坂誠二(民主党) 
事務局長: 阿部知子(無所属)

[PDF]トルコならびにアラブ首長国連邦との原子力協定の国会承認をうけて(コメント)

2014年4月11日 (金)

【談話】エネルギー基本計画の閣議決定をうけて(2014/4/11)

エネルギー基本計画の閣議決定をうけて(談話)
原発ゼロの会役員

 エネルギー政策基本法に基づく「エネルギー基本計画」が閣議決定された。東京電力福島第一原発事故後初めての見直しにもかかわらず、同基本計画が事故への反省と教訓を十分に踏まえておらず、原発の維持活用やもんじゅの延命、核燃料サイクルの推進姿勢などを鮮明にするばかりで、原発ゼロへの意志と明確な道筋を示していないことに対し、原発ゼロの会として強い遺憾の意を表明する。また、再生可能エネルギー促進について、導入数値目標の明記見送りも含め積極的に取り組む姿勢がみられないことについても、重大な懸念を抱く。そもそも、国民が示してきた原発ゼロへの民意に向き合うことなくまとめられた本計画は、正当性に欠けると言わざるを得ない。

 加えて基本計画は、地球温暖化対策や省エネルギー促進を含む持続可能な社会経済に向けたエネルギービジョンや、国民参加による意思決定手続きとガバナンスの適正化についても極めて不十分な内容となっている。原発の「長所」と原発停止の悪影響ばかりが強調される一方で再生可能エネルギーの「短所」に重きを置いた記述が目立つなど、明らかにバランスを欠いている。また、原発の運転コストが低廉との認識や、原発停止によるとする輸入燃料費増加の試算に円安や資源高による高騰分が含まれ、また節電の定着による発電量減少を考慮していないなど、前提とされている各種データと評価に疑問が残っている。

 福島第一原発事故後に世界各国で進む脱原発への動きや、再生可能エネルギーの優先接続・給電を進めて基幹電源とし価格低下も進んでいる世界の潮流に背を向ける姿勢も明らかである。原発をベースロード電源と位置付ける時代は終わり、再生可能エネルギーを基幹として需給を調整していく時代が始まっているのである。

 原発ゼロの会は、福島第一原発事故を経験した日本こそが、今回のエネルギー基本計画見直しを通して世界から原発をなくす先頭に立つ覚悟を示すべきであったと信じる。あの事故から3年を経て、いまだに約14万人もが故郷に戻れず、また事故の原因究明はおろか汚染水問題が深刻であり、廃炉に向けても不確実要素があまりに多いという現実や、原発周辺自治体の大半で避難計画が整備されていない状況に、真摯に向き合わなければならない。そうした中で、事故への反省を軽んじた原発回帰のエネルギー基本計画を閣議決定し、また原発輸出を急ぐことは、明らかに被災地や国民の思いに背く行為である。

 原発ゼロの会は、「東京電力福島第一原発事故を踏まえて我が国の政治がなすべき第一は『原発ゼロ』に向かうという決断である」(発足趣意書より)との原点に立ち返り、去る1月に発表した「エネルギー基本計画への提言」に示した22項目の提言も踏まえながら、今後とも党派を超えた連携を強化し、原発ゼロに向けた政策の実現に力を尽くす所存である。

原発ゼロの会
共同代表:河野太郎(自民党)、近藤昭一(民主党)
世話人:長谷川岳(自民党)、鈴木 望(日本維新の会)、山内康一(みんなの党)
笠井 亮(日本共産党)、真山勇一(結いの党)、玉城デニー(生活の党)
照屋寛徳(社民党)、阿部知子(無所属)
顧問:加藤修一(公明党)、逢坂誠二(民主党)
事務局長:阿部知子(無所属)

[PDF]エネルギー基本計画の閣議決定をうけて(談話)

2014年1月29日 (水)

エネルギー基本計画への提言(2014/1/29)

エネルギー基本計画への提言

原発ゼロの会
共同代表  河野 太郎(自民党)
        近藤 昭一(民主党)
世話人   長谷川 岳(自民党)
        鈴木 望(日本維新の会)
        山内 康一(みんなの党)
        笠井 亮(日本共産党)
        玉城 デニー(生活の党)
顧問    加藤 修一(公明党)
       逢坂 誠二(民主党)
事務局長  阿部 知子(無所属)

政府によるエネルギー基本計画の策定にあたり、以下提言する。

基本的な視点
 エネルギー基本計画案には、以下の点が決定的に欠落している。
1. 東電福島第一原発事故の反省と教訓を踏まえていない。
2. 原発依存度を低減させる移行管理の課題が示されていない。
3. 地球温暖化対策や持続可能な社会経済に向けたエネルギービジョンがない。
4. 国民参加による意思決定手続きとガバナンスの適正化がない。

提言
 「エネルギー基本計画」原案における原子力の「基盤となる重要なベース電源」との位置づけを撤回し、原発ゼロへの道筋を明確にすること。あわせて以下の事項を明記すること。

1. 東電福島第一原発事故の反省と教訓を踏まえること

◇原子力政策の見直し
1) 福島第一原発事故を踏まえて立地指針を見直すとともに、原子力災害対策指針に基づく避難計画の策定のあり方をあらためること。

2) 福島第一原発事故のもたらした被害のレベルにも対応するよう原子力損害賠償制度を見直し、電力会社及び製造者責任のあり方等についても検討すること。

3) 原発輸出は行なわないこと。ウラン濃縮・再処理を認めず核不拡散を担保し余剰プルトニウムを国際管理下に置くこと。また、製造者責任の原則の徹底を計るとともに、輸出の相手国に対する安全確認体制等を抜本的に見直すこと。

◇福島第一原発の事故処理・廃炉
4) 国民負担の最少化と事故責任原則に立って、東京電力(株)の法的処理を含めて事故処理・廃炉体制を刷新すること。

5) 原発労働者の被ばく管理の抜本的改善と、除染ならびに帰還の前提として土壌の核種別測定に基づく詳細な汚染マップを作ること。

◇国際協力と信頼醸成
6) 福島第一原発事故の経験を世界に正確に伝えるとともに、汚染水を含む事故処理・廃炉の技術に関する国際協力を推進すること。

7) 放射能汚染のもたらす健康被害について、海外の長年の知見に積極的に学ぶこと。

2. 原発依存度を低減させる移行管理の道筋を示すこと

◇廃炉の促進と立地・周辺自治体支援
8) 建設中のものを含めて原発の新増設を認めず、運転40年で廃炉とする原則を厳格に適用すること。

9) 原発の危険度を多角的に評価した上で、危険度の高い原子炉から順次廃炉を着実に進めるため、廃炉会計の透明化を図り、必要な費用を再算定すること。(当会提案「廃炉促進法案骨子案」、「原発危険度ランキング」参照)

10) 国策として原発を推進してきた経緯があり、国には廃炉に伴う立地及び周辺地域への悪影響を最小化する義務があることを十分に踏まえ、立地自治体及びその住民のイニシアチブを最大限尊重しつつ、廃炉に伴う立地及び周辺地域の産業転換・育成、税制・財政支援等を十分に行なうこと。(当会提案「廃炉周辺地域振興特措法案骨子案」参照)

◇核燃料サイクル事業の中止・最終処分問題
11) 直ちに使用済み核燃料の再処理の停止を宣言すること。プルサーマル計画も即時に中止すること。併せて、再処理工場に関する債務支払いや青森県内の使用済み核燃料及び高レベル放射性廃棄物の移設先確保、青森県及び六ヶ所村に対する新たな経済支援、使用済み核燃料に関する電力会社の会計ルールの変更等を行なうこと。

12) 地層処分としている最終処分方針を保留し、中長期的に地上での乾式貯蔵を行ないつつ、国民的議論のもとに処分方法を決定すること。使用済み核燃料の責任保管量の上限を国民的合意の上で定めること。

13) 商業用の高速増殖炉の開発を中止すること。

14) 余剰プルトニウムは国際管理下に置くことを含め速やかに処分すること。

◇電力会社の経営
15) 東京電力(株)の法的処理を行ない、経営責任、株主責任、金融機関等の貸手責任を明確にすること。

16) 電力会社の経営健全化の観点から、一般電気事業者の社債権者に対してその会社の全財産についての優先弁済権を認める電気事業法37条を廃止すること。

3. 地球温暖化対策や持続可能な社会経済に向けたエネルギービジョンを示すこと

◇エネルギーシフト
17) 省エネルギーと再生可能エネルギー導入促進、温暖化ガス削減について、国民と共有できる分かりやすい数値目標を作ること。

    【当会の提案】2030年目標値(2010年比)
             省エネルギー      30%(発電量)
             再生可能エネルギー 40%
             温暖化ガス削減    50%

18) 再生可能エネルギーが十分に廉価になるまでの間、固定価格買取制度の継続を担保すること。

19) 地方の雇用や経済活性化に資するための再生可能エネルギーの普及のため、系統整備と優先接続・給電の推進、国が前面に出ての北本連系(北海道・本州間連系設備)の整備や広域系統運用機関の平時における運用など機能拡大を含め発送電分離・送電網の整備を進めること。

20) 電力インフラ整備のための新たな資金調達プログラムを検討すること。

4. 国民参加による意思決定手続きとガバナンスの適正化を確実にすること

◇ガバナンス・意思決定のあり方
21) 国民のエネルギー主権の観点から、国民が示した原発ゼロへの民意を尊重すること。

22) 福島第一原発事故の責任と検証をふまえ、エネルギー・原子力政策のガバナンスを適正化すること(行政組織、人事、予算改革、利益相反防止)。

以上


【付記】
本提言の作成にあたっては、原発ゼロの会役員間で以下のように各課題を担当して起草し、有識者との「国会エネルギー調査会(準備会)」における提言や論議等も参考にしつつ取り纏めた。

◇原子力政策の見直し(笠井亮)
◇福島第一原発の事故処理・廃炉(近藤昭一、阿部知子)
◇国際協力と信頼醸成(山内康一)
◇廃炉の促進と立地・周辺自治体支援(村上史好、山内康一)
◇核燃料サイクル事業の中止・最終処分問題(河野太郎)
◇電力会社の経営(河野太郎)
◇エネルギーシフト(長谷川岳、加藤修一)
◇ガバナンス・意思決定のあり方(阿部知子)

[PDF]エネルギー基本計画への提言(2014/1/29)
[PDF]参考資料①
[PDF]参考資料②

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