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2015年8月

2015年8月11日 (火)

川内原発1号機再稼働について

本日8月11日、九州電力川内原発1号機が起動しました。
原発ゼロの会では昨年11月に「原発再稼働をめぐる「無責任構造」からの脱却を求める」(談話)を公表しておりますが、この中で提起した課題が解決しないまま再稼働に至ったことは遺憾です。

次回第53回国会エネルギー調査会(準備会)では、原子力規制委員会発足3年というタイミングでもありますので、再稼働問題をはじめとして、規制委・規制庁の3年間の評価と課題について、国会事故調提言のフォローアップとあわせて議論したいと考えております。9月10日開催予定です。

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原発再稼働をめぐる「無責任構造」からの脱却を求める(談話)【PDF】

2014年11月6日
原発ゼロの会役員

 九州電力川内原発の再稼働に向け、10月28日に薩摩川内市長が同意を表明し、鹿児島県議会でも県知事同意への環境整備が大詰めを迎えている。しかし、東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえた安全確保策となっているのか、万が一の事故が起こった際のサイト内外の対策に現実性があるのか、疑問は解消していない。原子力規制委員会、政府及び立地自治体は異論に十分耳を傾けず、形式的に手続きを進めている。政府は法的裏付けのない言葉だけの「責任」をアピールし、立地自治体もそれを知りながら、さも国から保証を得たかのように振る舞う中、責任の不在は深刻である。
 原発ゼロの会は、3.11の反省に基づき原子力規制委員会創設をはじめとする原子力規制改革がなされたにも関わらず、各主体の役割・責任が曖昧なまま、同委設置法案の国会審議や附帯決議の趣旨を無視した恣意的な法解釈と既成事実の積み重ねの中で原発再稼働に至ろうとしていることを大いに憂慮する。
 原発ゼロの会は、「核のゴミ」問題の未解決という現状を含め、「無責任構造」を脱却するために、4項目につき法的整理及び明確化を図り緊急に措置を講ずることを提言するとともに、規制委設置法及び関係法制の有効な見直しに積極的に関与していく。

原発再稼働の是非を判断する責任の明確化
1. 原子炉設置変更許可等所定の許認可を規制委から得た事業者がその一存で再稼働を行なうことが法律上は妨げられず、政府又は規制委に再稼働判断の責任が法的に課せられていない。原発再稼働を判断する法的責任を明確化すべきである。

避難計画を含む地域原子力防災計画の国による審査と実効性担保
2. 原子力規制委員会設置法の本来の趣旨に基づき規制委が、又は原子力防災会議及び内閣府原子力防災担当部門が、避難計画を含む地域原子力防災計画を総合的に審査、認定することとし、国が実効性を担保する責任を負うべきである。

「地元同意」と「安全協定」の法定化
3. 原発再稼働への同意を含む自治体の権限、住民意思を反映した適切な同意形成及び事業者の義務について、並びに安全協定について、法律に明記すべきである。当該法的措置が講じられるまでの間も、政府は原子力事業者に対し、立地自治体以外の自治体との安全協定締結及び既存の安全協定の内容改定を促すべきである。

「核のゴミ」問題に決着を
4. 将来世代への責任として、使用済み核燃料の総量管理、暫定保管、乾式貯蔵などの政策を確立し、かつ再処理から直接処分へ政策転換すべきである。

原発ゼロの会
共同代表:河野太郎(自民党)、近藤昭一(民主党)
世話人:鈴木 望(維新の党)、真山勇一(維新の党)、山内康一(みんなの党)、
     笠井 亮(日本共産党)、玉城デニー(生活の党)、
     照屋寛徳(社民党)、阿部知子(無所属)
顧問:加藤修一(公明党)、逢坂誠二(民主党)
事務局長:阿部知子(無所属)

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《解説》 原発再稼働をめぐる「無責任構造」からの脱却を求める(談話)

2014年11月6日
原発ゼロの会役員

 川内原発再稼働については、新規制基準そのものの問題、適合性審査の進め方、パブコメの取り扱いを含めた市民参加のあり方、火山リスク評価、避難計画の内容等、多岐にわたる問題が指摘されているが、原発ゼロの会としては、特に法的側面に焦点を当てて検証作業を行なってきた。以下、提言の背景及び内容を説明する。


原発再稼働の是非を判断する責任の明確化
1. 原子炉設置変更許可等所定の許認可を規制委から得た事業者がその一存で再稼働を行なうことが法律上は妨げられず、政府又は規制委に再稼働判断の責任が法的に課せられていない。原発再稼働を判断する法的責任を明確化すべきである。

(1) 政府は本年4月に閣議決定したエネルギー基本計画において「原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」と明記した。川内原発についても「原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められ、原子炉設置変更許可が行われました」とし、「これにより、再稼働に求められる安全性が確保されることが確認されました」ため、エネルギー基本計画に基づき再稼働を進めると表明した。ここで第一に明確なのは、「再稼働に求められる安全性」が新規制基準への適合性に限定され、矮小化されていることである。

(2) 原子力規制委員会は「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全」に資するため「原子力利用における安全の確保を図ること」を任務としているが(同設置法第1条及び第3条)、田中俊一規制委員長は「規制委は再稼働するかどうかについては判断しない」「規制基準の適合性審査であって、安全だとは言わない」と繰り返してきた。川内原発の適合性審査についても「運転に当たり求めてきたレベルの安全性が確保されることを確認した」と規制委が判断する安全性の範囲を限局した。なお、政府答弁書(本年10月7日閣議決定)は「運転に当たり求めてきたレベルの安全性」と「再稼働に求められる安全性」とは同旨であるとしている。

(3) 原子力規制委員会設置法案の国会審議においては、衆法たる同法案提出者も細野豪志担当大臣(当時)ら政府側も「独立した規制委が再稼働を判断する」と繰り返し答弁をしていた。法案提出者が同法案にいう「安全」は原子炉の安全に止まらず、防災対策など全てを含んでいると明確に答弁していることとあわせ、現在の規制委の姿勢は規制設置法に違反していると言わざるを得ない。

(4) さらに、政府及び規制委は原子炉等規制法上、再稼働を判断するのは「一義的に事業者」であると答えている。この点、言を左右にして曖昧化する場面も多々あることとあわせ、法律上の建前とレトリックを使い分けて「無責任構造」を糊塗しながら、再稼働を進めようとする政府の姿勢は問題である。付言すれば、政府は鹿児島県及び薩摩川内市に対して「万が一事故が起きた場合には、政府は、関係法令に基づき、責任をもって対処」すると強調するが、これは前掲政府答弁書が明言する通り、一義的な責任は事業者にあるとの法的建前を前提に、原子力災害対策措置法等の関係法令に基づき対処すると説明しているに過ぎず、政府は、事故が起こった場合の「結果責任」についても、再稼働を進めると明記したエネルギー基本計画を閣議決定したことから生じる責任についても明言を避けている。

(5) 科学的判断に絶対はなく、また田中規制委員長らが「絶対安全、ゼロリスクはない」と強調することはその通りであって、それ故にその判断には科学的な割り切りが必然的に伴う。規制委の審査の公開性・透明性の確保に加え、パブリックコメントの手法・意見反映の不十分さに見られるような欠陥を改めて、より参加性を高め、審査に対する信頼性及び納得感を最大限得られるようにした上で、規制委に再稼働について判断する責任を担わせるのも一案である。あるいは、このような科学の限界を踏まえ、規制委の科学的判断が受け入れ可能であるのかを判断する責任を政府が引き受けることも考えられる。当然ながら、後述する「地元」の関与は、その権限の程度は制度設計によるとしても必須である。

(6) なお、川内原発の火山リスク評価については専門家から根本的な批判が突き付けられており、九州電力及び規制委の判断については「非科学的」な割り切りとの疑義さえある。そうした中で、11月2日、日本火山学会の原子力問題対応委員会は「巨大噴火の予測と監視に関する提言」を公表し、「噴火警報を有効に機能させるためには、噴火予測の可能性、限界、曖昧さの理解が不可欠」として、規制委の「火山影響評価ガイド」の見直しを求めた。同委の石原和弘委員長(京都大学名誉教授)は同ガイドに基づき川内原発の新規制基準適合性が認められたことについても「疑問が残る」とした。


避難計画を含む地域原子力防災計画の国による審査と実効性担保
2. 原子力規制委員会設置法の本来の趣旨に基づき規制委が、又は原子力防災会議及び内閣府原子力防災担当部門が、避難計画を含む地域原子力防災計画を総合的に審査、認定することとし、国が実効性を担保する責任を負うべきである。

(1) 政府は「再稼働に求められる安全性」は規制基準適合によってのみ確保されるとの立場であるが、これに避難計画を含む地域原子力防災計画の策定及び実効性確保が含まれないのは致命的な問題である。また、政府は「ワーキングチームにおいて、川内地域の避難計画を含めた緊急時対応が具体的かつ合理的なものとなっていることが確認され、その結果」が原子力防災会議に「報告され、了承された」とするが(前掲政府答弁書)、この確認、了承は何ら法的な裏付けのない行為であり、政府が責任をもって避難計画等を審査し、実効性を担保するものではない。

(2) なお、原子力防災会議が確認したとされる避難計画は、要援護者の避難に係る現実性の欠如や非人間性が批判されている他、避難施設が災害対策基本法に違反し津波等の危険区域に設定されているなど、「具体的かつ合理的」とは認められない点が数多く指摘されている。「国も前面に立つ」としながら、その内実が伴っていないとの感を強くせざるを得ない。

(3) 最も住民に近く、地域の状況に精通した地方自治体が原子力防災において役割を果たすべきことは当然だが、原子力災害の特殊性並びに国(原子力関係組織のみならず自衛隊等を含む)、自治体及び事業者が緊密な連携の下に総力を挙げて対処することとなるため、地域原子力防災計画については、災害対策基本法に基づき自治体に地域防災計画(原子力災害対策編)の策定責任を課し国が助言・勧告する現行法の仕組みを超えた国の責任ある関与が求められる。


「地元同意」と「安全協定」の法定化
3. 原発再稼働への同意を含む自治体の権限、住民意思を反映した適切な同意形成及び事業者の義務について、並びに安全協定について、法律に明記すべきである。当該法的措置が講じられるまでの間も、政府は原子力事業者に対し、立地自治体以外の自治体との安全協定締結及び既存の安全協定の内容改定を促すべきである。

(1) 現行法上、原発再稼働に対する「地元同意」にも、その根拠となる「安全協定」にも法的な裏付けがなく、もちろん地元の範囲や同意形成手続きについても法的定めが不在である。原発事故時の多大なリスクを引き受ける地元住民及び自治体が再稼働に対して意思を表明する権利を有するのは当然のことである。原子炉の安全性に対する科学的判断や原子力防災対策の内容等が社会的に許容されるものであるのか、リスクを引き受ける妥当性があるのかについて、信頼感や納得感という側面を含め、地元住民及び自治体の意思が尊重される必要がある。

(2) また、現行の安全協定では同意権限が立地自治体に付与されているが、東京電力福島第一原発事故の経験及びそれを踏まえて30キロ圏に拡大されたUPZ(緊急時防護措置準備区域)を鑑みれば、同意権限は少なくとも30キロ圏内の自治体に付与されるべきである。また、それを超える圏域でも原発事故の影響が及ぶ可能性が当然に想定されるため、同意権については議論が必要であるが、意見表明権等一定の権限が付与されて然るべきである。

(3) なお、米国やフランス等海外の事例を見ると、必ずしも地元自治体に同意権限を与えている訳ではないが、それは独立性が高く、強力で、かつ信頼性の高い規制機関の存在を前提としているためであると考えられる。例えば、規制機関の説明責任と関係自治体等とのコミュニケーションが制度化されているフランスの例(地域情報委員会(CLI))や、NRC(原子力規制委員会)が避難計画等を審査しその妥当性が原発稼働の条件となっているアメリカの例から学べることは多い。日本においても規制機関等の説明責任やコミュニケーションの実質化及び制度化は強く求められるところであり、将来的にはそのような基盤の上で地元の権限のあり方を再構築することも当然あり得るが、現時点では、明確に地元が権限を持ち、事業者及び規制機関等に法的に対抗できることが必要であると思われる。

(4) 川内原発の再稼働を巡っては、既に薩摩川内市及び鹿児島県のみで同意手続きが進んでいるが、これに対して、いちき串木野市議会及び日置市議会が県知事宛意見書を採択するなど、周辺自治体からは関与と同意権限を求める声が上がっている。政府、九州電力及び鹿児島県に対しては、周辺自治体の意思を無視して再稼働を進めることがないよう強く自制と対応を求めるものである。


「核のゴミ」問題に決着を
4. 将来世代への責任として、使用済み核燃料の総量管理、暫定保管、乾式貯蔵などの政策を確立し、かつ再処理から直接処分へ政策転換すべきである。

(1) 各原発における使用済み燃料の貯蔵余地はひっ迫しており、3年程度で置き場がなくなる原発もある。また、単なる貯蔵スペースの問題にとどまらず、延期を繰り返している六ヶ所再処理工場の稼働時期もコストも全く見通しが不透明であり、また、英仏で加工されたMOX燃料を利用するプルサーマル発電が再開できる目途は現時点で立っておらず、少なくとも拡大する可能性はない。何より、最終処分について、その場所をはじめ、全く見通しが得られていない現状にある。既に約1万7千トンもの使用済み燃料が各原発及び六ヶ所再処理工場で保管されており、また、日本は海外保管分と合わせ約47.1トンものプルトニウムを利用の当てもなく保有している。

(2) こうした中で、日本学術会議は高レベル放射性廃棄物問題について、「総量管理」と「暫定保管」を社会的合意形成に支えられた政策として確立することを提言している。その上で、「各電力会社の配電圏域内での暫定保管施設の建設」を原則とし、「使用済燃料をどこの暫定保管施設で保管するかを事業者が特定確保することを、原発の操業の前提条件とするべきである」とした。この暫定保管施設には、使用済み燃料の場合でも「基本的に乾式貯蔵技術が適している」と評価している。暫定保管の期間については、「一世代に相当する30年を一つの期間として、その期間の間に、その後のより長期の政策選択についての判断をするべきである」としている。原発ゼロの会は、以上の提言を採用すべきであると考える。

(3) 原子力委員会の核燃料サイクルのコスト試算(2011年11月)は、「軽水炉使用済燃料を全量再処理する再処理モデルが約2 円/kWh、軽水炉使用済燃料の直接処分モデルが約1 円/kWh 」「使用済燃料の一部を中間貯蔵したのち再処理する現状モデル(再処理50%、中間貯蔵後に再処理50%)のコストはそのほぼ中間(約1.4 円/kWh)」としている。これはあくまでモデルプラント方式で、一定の仮定を置いた試算であるが、再処理に経済合理性がないことは明白である。


原子力規制委員会設置法の有効な見直しを
 原子力規制委員会設置法は附則で3年以内の見直しを定めており、政府でも検討チームを設置するなど、議論が開始されている。本談話で取り上げた事項以外にも、原発ゼロの会が指摘してきた規制委員の欠格要件や規制庁職員のノーリターンルールの問題、国会事故調提言等の反映など、課題は山積している。原発ゼロの会としては、原子力規制委員会設置法及び関係法制の有効な見直しに寄与すべく、引き続き議論に積極的に関与していく。

以上

【PDF】原発再稼働をめぐる「無責任構造」からの脱却を求める(談話)

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